小樽到着

 小樽についた。

 朝の2時頃から、甲板に出て海の夜景を見ていた。真っ暗の中、水平線のかなたから漁船の光が眩しいくらいに海を照らしている。

 少しすると、北海道の光が見えてきた。小樽の町のようだ。感動的だ。北海道だ。言葉でしか聞いたことの無かった北海道がこんなに近くまできた。
西の空が明るくなり始めるころ荷造りを始めた。いつでも発てるようにして、もう一度甲板に出て船首まで行った。風速50メートルはあろうかという強風の中、北海道が近づいてくる。北海道は風に運ばれてやってきた。

 もう、外も明るく、湾内に入った。大型船の感動的な運航技術に見とれていると、まるで演歌の一節のように、カモメがないていた。

 北海道に足をつけた。やった。早朝の明るさがまたいい。

 ターミナルの入り口でぼぉーっとしていたら、部屋で隣だった人に声をかけられた。もう少し早く部屋の中で知り合いになっとけば良かった、と思った。彼は北九州からバイクで来たそうだ。彼に駅の方向を教えてもらい重い荷物をしょいながら、歩いていった。
歩けば歩くほど肩に荷物が食い込んでくる。めちゃくちゃ苦しい。早くチャリンコを購入したいが、札幌から出発予定なので札幌まではこの荷物を自分で持ち運ばないと行けない。

 かなり歩いているのに駅が見えない。線路らしきものがない、看板すらない。人に聞こうにも、朝早いので人がいない。どうしようと思っていると、向こうの方から老夫婦がやってきた。「リュックを背負っているので旅行者には間違いない、よし、この人に聞こう」と思って近づくと、向こうから話し掛けてきた。

「小樽駅はどっちですか?」 

僕と同じように駅を探しているらしい。少し話をしていると、どうやら僕は逆方向に行こうとしていたらしい。同じ駅を探しているので、いっしょに駅を探すことになった。さっき来た道を戻り、さらに進む、おじさんは結構北海道に詳しいらしく小樽運河の近くにあるということを知っていたので、とりあえず、そこまで進むことにした。途中、運河の河口にかかっている橋から見たフェリーがきれいだったので写真を一枚撮った。

小樽のフェリー

 さらに荷物が肩に食い込んできて、肩が抜け落ちそうになった。少し、駅までの道が解りかけてきたときに、おじさんは「時間がないから」といってタクシーを拾ってくれた。

 タクシーの運転手さんの話によると、ここから小樽駅まであと2.3キロあるらしくタクシーを拾って正解だ、と言った。ほんと助かった。

 始発まで3.40分時間があったので、おじさんらと少し話をした。

 おじさん夫妻は洞爺湖畔にある宿泊施設に一ヶ月ほど滞在するそうだ。そろそろ始発が出そうになるころ、おじさんは、「是非、洞爺湖の温泉に来たら、うちに遊びにきなさい」と住所を教えてくれた。洞爺湖がどこにあるのか知らないが、絶対行ってやろう、と小樽の朝日に誓い、おじさんと別れ、僕は、札幌行の電車に乗った。

 札幌駅は想像していたより、こじんまりとしていた。

 同じ大学の友人で、この北海道でお世話になる予定の拓夫(今は札幌大学に短期留学中)に電話して、澄川駅で待ち合わせをした。地下鉄南北線は通勤ラッシュ寸前で少し混みかけていたが、運良く座ることができた。しばらくすると電車は澄川駅に到着し、改札を抜けると、そこには相変わらずな拓夫がいた。

拓夫んちに着くまで2つ北海道らしい珍しいものがあった。

一つ目は7月の道端に咲くコスモス。

もう一つは押した瞬間に変わる押しボタン信号。
(冬の寒さでは信号待ちが辛いから?と想像してみたり)

しばらく拓夫んちで休んで拓夫の通う札幌大学に行った。一通り構内を歩き回った。1時から、拓夫が期末試験で、なぜか僕もその試験準備を手伝うことになった。
内容は「宇宙論」で、試験範囲のプリントを見て、手当たり次第、それに関係しそうな本を探し、あらかじめ答えを用意しておく。といったことをやった。おかげで宇宙のことに少し詳しくなった。まさかこんなところで宇宙のことについてしらべるなんて夢にも思わなかった。お礼に食堂でカツカレーをおごってもらって、自分でホイコーローとゴボウサラダとトン汁を食った。830円もしたけど、栄養不足にはなってはいけないので、もりもり食べる。

 拓夫はけっこう学校の先生と仲がいいらしく。現代思想を研究している三上先生という人の研究室に出入りしていた。僕は、そこで昼寝していたら、当の先生がやってきて、インターネットのことをいろいろ聞かれた。拓夫がいろいろ言っていたらしい。そのため、僕が札幌にいる間、三上研究室のホームページ立ち上げを手伝うことになった。そんな事もあり夕食は、三上先生におごってもらった。先生は忙しそうなので、お金だけもらってALIVEというスーパーのようなお店で、牛肉といかそうめんをたくさん買って、拓夫んちで食べた。腹いっぱい食った。うまかった。

 札幌一日目はこんな感じ。