ストリートミュージシャン

 夜、寝床を探してぶらぶらしてもなにもないので、みんなに絵はがきを出しつつ時間をつぶして、福島駅に行って夜を明かすことにした。駅は西口と東口があり、東口はとても繁華街と化して、怖い人らがうろうろしているので、閑静な西口の方に行った。そこはナンパばっかりのようだったが、別に危険はなさそうなので、ここに決めた。

荷物をおろしチャリでブラブラしていると、夜のバス停でギターを弾いている人がいたので、久しぶりに僕もギターを弾きたいなぁーと思って、声をかけた。タケオという人で、東京から僕と同じようにチャリで来ていた。しかもギターを背負って。僕もそうしたかったが、荷物の都合でできなかった。彼は、いわゆる花の東京で一旗揚げるため、米沢という所から出てきて、東京でバンドを組み、結構ライヴをこなしてるらしい。ジャンルは、みんなのポップス系とか言っていた。結構遅くまで話した。雨が降ってきたので地下道に行って、少しギターを弾かしてもらった。

そのまま僕は寝てしまい、朝になったら手紙を残して彼は去っていた。今日の夜、東口の地下道でストリートをするそうだ。行けたら行こう。

 朝、9時前くらい、駅の前の壁にもたれかけてボーっとしていたら、子連れのおばさんが話しかけてくれて、カンパだといって、使いさしのテレホンカードをくれた。モノをもらったのは初めてで、とても嬉しかった。

 その後、東京の友達が、今日の昼頃福島に来るので、それまで郵便局を探したり、祭りを見たり、街中をうろうろした。

 昼12時頃、友達二人が福島にやってきた。駅であった後、3人で街中をうろうろして、阿武隈川の川岸で2時間ばかし遊んだ。写真を撮ったり、逆さ向けに寝転がったり、絵を描いたり、四つ葉のクローバーを探したりした。友達は四つ葉のクローバーを3つ採ったが、僕は6つ葉のクローバーを見つけて、一発大逆転した。 その後、喜多方ラーメンを食べようということになって、喜多方に行くことになったけど、喜多方に行ってしまうと、今日中に福島に帰ってこれないということがわかったので、駅の中にある、「林家菊蔵もご推薦」という喜多方ラーメンを3人で、醤油、塩、みそ、と別々に頼んだ。僕は醤油を頼んだ。まあまあうまかった。その後、居酒屋に行って少し飲んで、いい気分で、僕は明日、出発することに決めた。

 二人は、駅前のグリーンホテルのツインに泊まるので、僕は便乗して、隅っこで寝させてもらうことにした。

ホテルに着いた後、街をぶらつき、昨日の夜出会ったミュージシャン「タケオ」に会いに行くことにした。彼は駅の地下通路にいて、最初見ると10人くらいの人が周りに座っていて、大盛況だった。僕が近くに行くと、彼は気付いて話しかけてきて、なんだかすごい事になった。タケオと周りを取り囲んでいた人達との会話で、彼女らが、関西外大の旅研究会の人ということでとても驚いた。彼女らはなぜか、お揃いの制服みたいなのを着ていた。

そうこうしつつ、タケオの歌を20分位聴いて、住所を交換し、一緒に写真を撮って別れ、ホテルに帰った。僕はいそうろうのくせに、一番風呂に入り、ベッドを占領し、いつの間にか寝ていた。

朝起きると二人はけっこう怒っていて、なんやかんや言われた。そりゃそうだ。金も払わず、いそうろうのくせに、一人でベッドに寝たからなぁー。でもまぁ、こんなこともあるさぁー。

朝、10時ギリギリにチェックアウトして、ドトールで朝食をとり、出発した。あっさりとした別れだった。

ストリートミュージシャン「タケオ」くん