オツなことをする

 だいぶ野宿に慣れてきたのか、今日起きたのは9:00頃だった。

僕が歯を磨きに行くと、その人はどこからボールを見つけてバスケットをやっていた。足を引きずって痛そうなのに。なぜそこまでしてバスケットをしているのだろうかと思った。

目もだいぶ覚めて、荷作りをして、そうそうと見送られつつ、出発した。今日の目的地は分からない。とりあえず選択候補として、太平洋沿いに6カ所村を通りつつ進むか、野辺地辺りまで行って本州の真ん中を南下して行くかだ。地形がわかれば凹凸のすくない方にしようと思ったけど、僕の持っている地図は地形が解りにくいので大変だ。

ここんとこずっと雲が出ていて、太陽が見れない。しかも風が冷たく、気象庁から低温注意報が出ている位だ。全く夏を感じられない。

そうこう思っているうちに、昼過ぎぐらいから雲が薄れてゆき、海の向こうの方が白く輝きだした。しばらくすると、僕のところも太陽が照りつけてきた。久しぶりの太陽だ。太陽は暑いが、風は冷たい。走っている時はTシャツ短パンだが、しかし休んでいるとそれでは寒い。よくわからない気候だ。

 今日晴れている時、タイミング良く砂浜海水浴場という所があったので、ちょこっと寄ってみた。こじんまりとした砂浜に海の家が2つあった。1つの店の前を通りかかると、おじさんに声をかけられ、少し休憩していった。僕が京都に帰ると言ったら驚いていたが、この海を泳いでいけば3日で帰れるとか、めちゃくちゃなことを言っていた。ビールの飲み過ぎだ。店ついでに、ちょうどカメラのフィルムが切れていたので、1つ買った。540円もした。やっぱりこんな所で買うもんじゃないと思った。

そんなこんなで今日は野辺地までやってきた。この町はなかなか古い大きな町だ。おかげでPHSが使える。少しするとトモアキ君と拓夫から電話があった。うれしかった。今日の寝床はPHSの電波の届く所にしようと思った。
しかしここはなかなかいい寝床がない。今、フェリーのないフェリー埠頭みたいな所にいるが、とてもさみしい。釣り人が数人いるが、さみしさは変わらない。

 今日は2日ぶりに風呂に入った。タカラ温泉という銭湯みたいな温泉で、大人1人300円と安かった。湯のほうはというと、酸性の薬品臭がして、入ると肌がキュッキュッとなった。とても気持ちが良かった。

 そうそう、今日、晩飯(のり弁)を買ったついでにホタテ貝(100円)を1枚買って、ポケットコンロで焼いて食った。なかなかオツなことをした。

 多分今日はここで眠れそうになさそうだ。風はきついし、屋根はないし、虫はいるし、車が出たり入ったりするし、もう少ししたら今日の寝床を考え直そうと思う。

ほたての網焼き(一個100円)